4人対戦ランクバトル…。私はそこで、とあるトレーナーの感情の揺らぎを観測した。
ミアレシティの中心部、乱戦のフィールドにて、愛用のルカリオを繰り出すトレーナーがいた。
相手のバンギラスとヘルガーが激しく技を応酬し、その体力を大きく削り合っている。
トレーナーは機を捉え、ルカリオの高火力技で弱ったバンギラスを仕留めようと、集中力を極限まで高めていた。
しかし、その刹那、物陰から飛び出したクチートが、一瞬早くバンギラスに止めを刺したのだ。
キルはクチートのトレーナーのものとなり、ルカリオ使いのトレーナーの顔には、憤りと虚無感が入り混じった表情が浮かんでいた。
第三者介入(漁夫の利)の心理的負荷
Z-Aバトルクラブのリアルタイム4人対戦では、「撃破数」が勝利を決定する唯一の指標となる。
そのため、他のトレーナー同士が激しく戦い、互いに疲弊している隙を突いて、体力の減ったポケモンを奪い取る「第三者介入」が常態化している。
この戦術は、リスクを最小限に抑えつつ効率的にKOを稼ぐ「支配戦略」の一つであり、理にかなった行動であると言えるだろう。
しかし、その一方で、自らが多大なダメージを与え、あと一歩で勝利ポイントを得られる状況で、横から別の誰かにキルを奪われる経験は、トレーナーの心に深い不満と不公平感を刻みつける。
これはまるで、共同で築き上げた目標が完成間近で、労力なくして成果を横取りされるような、あるいはマラソンでトップを争い消耗した終盤に、別レーンから現れた選手にゴールを奪われるような理不尽さにも似ている。
自らの努力が報われないと感じた時、心は容易に折れるものだ。このような状況での連敗から立ち直る心理術も、こちらの記事で解説している。
ニンテンドースイッチ2が加速させる不公平感
この第三者介入による不公平感は、ニンテンドースイッチ2(以下、スイッチ2)の登場によって、さらに複雑な様相を呈している。
スイッチ2の低遅延入力と高フレームレートは、乱戦における「瞬時の判断」と「精密な操作」の成功率に、旧型スイッチと比較して決定的な優位性をもたらすことが予測される。
つまり、第三者介入を成功させるための、敵の動きの予測、高火力技の着弾位置の調整、そしてキルを確定させるための最後の入力精度において、スイッチ2ユーザーは構造的に有利な立場にあると言える。
これは、純粋なスキルだけでなく、ハードウェアの性能差が勝敗を左右するという、eスポーツにおける「Pay-to-Win」の概念にも通ずるものであり、多くの旧スイッチユーザーに「Sランク到達不可能な生活」という絶望感を与える要因となりうるのだ。
報われない努力との向き合い方
この避けられない「第三者介入」の呪縛から完全に逃れることは困難である。
しかし、その現実と向き合い、自らの心を守るメンタルケアは存在する。
まず、キルを奪われること自体は、あなたのダメージを与える努力が無意味だったわけではないと理解することだ。
相手の体力は確かにあなたが削ったのであり、その「貢献」は目に見えるポイントにならなくとも、戦場においては確実に意味を持つ。
人生における理不尽な出来事と同様に、全てをコントロールすることはできない。しかし、その中でも自らの最善を尽くすことの価値は揺るがない。
感情の波に飲み込まれず、「今、この瞬間に何ができるか」に意識を集中することが、精神的な安定へと繋がる真理である。
新たな「勝ち筋」を見出す戦略的シフト
第三者介入に苦しむのであれば、その視点を転換し、自らが「介入する側」に回る戦略を構築することも有効な手段だ。
乱戦を意図的に作り出し、疲弊した敵に高火力AoE(広範囲攻撃)技で一気に止めを刺す。
あるいは、ステージ上のメガエネルギーやアイテムの出現地点を警戒し、常に複数の敵の交戦状況を俯瞰的に把握する「観測者の視点」を持つことだ。
これは、チェスにおいて相手の次の数手を読むだけでなく、盤面全体の流れを読んで自分の有利な状況を作り出すように、全体を掌握する戦略眼が求められる。
高品質なコントローラーは、微細な操作を助け、判断の精度を高める一助となる。
まとめ:己の道を極めるために
Z-Aバトルクラブのランクマッチは、多くのトレーナーに試練を与える。第三者介入による不公平感や、ハードウェア格差による限界に直面することは、決して珍しいことではない。
しかし、その試練は、己の限界を知り、新たな可能性を見出す機会でもある。
完璧な勝利や、常に公平な戦いを求めることは難しい。だが、あなたの努力と戦略が勝利へと繋がる道は必ず存在する。
他者の行動に惑わされることなく、あなたが自らの道を大切にし、その道を極めることで、必ずやランクマという戦場で、あなた自身の輝きを放つことができるだろう。


